コロナウィルスにより,兵庫県では休業要請がなされました(兵庫県/県内の事業者の皆様へ ~新型コロナウイルス感染症に係る休業要請等のお願い~)。
休業要請(特措24条9項)の効力は,事業者に対して休業を義務付けるものではないと理解されています。したがって,事業者としては法的には営業を続けるのも自由です。
もっとも,街を歩く限り,営業を行わないという選択をする事業者は相当な数に上ります。感染リスクや経費削減などいろいろな理由があると思われますが,あらゆるお店がしまっている現状です。
もっとも,動物を扱う業者の人たちにおいては,完全な休業という決断はできません。動物は生きていますので,エサが要ります。多少世話は減らしても構わないかもしれませんが,完全に世話を断つことは(経営判断として)できないでしょう。
たとえば,動物園の動物の世話は誰がするのか。飼育員さんです。いま,このコロナの時期も飼育員さんは働きづめであると推察されます。
ところで,法律では,事業主(使用者)は,❶『休業』がされていて,❷ 休業が『使用者の責にきすべき事由』によるときは,平均賃金の6割を休業手当として支払う義務があります(労基26条)。
ここで,❶『休業』というのは,労働をなしえなくなることをいいます。
さて,ほとんどの動物園は休業要請により休園しているようです。ここで「休園」という言葉を用いたのも,飼育員さんは飼育業務を行い続けていて,❶『休業』は行われていないからです。したがって,飼育員さんには休業手当は出ません。
これで,え,出ないのかよ!と突っ込みを入れて頂く前に知っておいていただきたいことがあります。
それは,飼育員さんが飼育業務を行い続けていて,労働義務を尽くしている限り,事業主は10割の賃金を支払義務があるということです(飼育員さんは10割のお給料を請求できます)。動物園が休園になって,売上が0になっても(少なくとも休業を理由に)給与をカットすることはできないということです。動物園の経営者の方には,動物の経費がかかる(しかもかなりかかります‥‥)ので,人件費を抑えたいという心情は理解でき,心苦しいところですが。
いずれにしても,このようにみていくと休業要請というのは,動物産業においては,正確には「営業」の自粛を意味しているのであって,決して休業をしていないことがよく分かります。
少し法律の話に立ち入ってしまいましたが,動物産業を支える人達はいまこの瞬間も命を守るために休んでいない,そういうことを理解して頂けると幸いです。そして,コロナが収まったらまたみんなで動物に会いにいって頂きたいと願ってやみません。